毎年10月に発表される「ノーベル平和賞」。
戦争や人権、環境問題など、世界に貢献した人物や団体が受賞しますが、「誰が選んでいるの?」「どうやって決まるの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ノーベル平和賞の選考方法や審査の流れをわかりやすく解説します。
🔸 ノーベル平和賞を選ぶのは「ノルウェー・ノーベル委員会」
ノーベル平和賞は、スウェーデンではなくノルウェーで選ばれる唯一のノーベル賞です。選考を行うのは「ノルウェー・ノーベル委員会(Norwegian Nobel Committee)」と呼ばれる5人の委員からなる組織。
この委員会のメンバーは、ノルウェーの国会(ストーティング)が選出します。つまり、政治的には独立しているものの、ノルウェー政府の信頼を受けた人物たちが担当しているのです。
🔸 候補者の推薦は「世界中から」
ノーベル平和賞の候補者は、誰でも推薦できるわけではありません。推薦できるのは、以下のような限られた人々です。
- 各国の国会議員・政府関係者
- 国際裁判所の判事
- 大学の教授(歴史・社会科学・法学・哲学など)
- 過去のノーベル平和賞受賞者
- ノーベル委員会のメンバー など
推薦は毎年1月末に締め切られ、その数はなんと300件以上にのぼります。
🔸 審査の流れ|発表までの道のり
- 1月末:推薦受付締め切り
- 2月〜3月:候補者の絞り込み(委員会でリスト作成)
- 4月〜8月:専門家による調査・分析
- 9月:最終審議
- 10月:受賞者発表(通常は第2金曜日)
審査はすべて非公開で行われ、選考過程や候補者の名前は50年間、秘密とされています。つまり、誰がどのような理由で推薦されたのか、詳細は半世紀後にならないと明らかにならないのです。
🔸 ノーベルの遺言が定めた「平和賞の理想」
ノーベル賞の創設者、アルフレッド・ノーベルは遺言の中で、平和賞を「国家間の友好促進、軍備縮小、人類の平和に貢献した人物や団体に授与する」と定めました。
この理念に基づき、ノーベル委員会は「平和とは何か」「誰が最も貢献したのか」を慎重に議論しています。戦争の終結に尽力した指導者、環境問題や人権問題に取り組む活動家など、多様な分野の人々が受賞しています。
🔸 政治的な議論もある?
ノーベル平和賞は、その性質上、政治的な影響を受けやすい賞でもあります。受賞者の選出が「偏っている」「政治的だ」と批判されることもありますが、委員会は常にノーベルの理念に基づき、世界的な平和貢献を重視して選定しています。
🔸 まとめ:ノーベル平和賞は“世界の良心”が選ぶ賞
ノーベル平和賞は、世界各地から推薦された候補者を、ノルウェーの専門委員会が長期間かけて審査し、慎重に選びます。選考の透明性は高くありませんが、その理由は「政治や世論に左右されないため」。
誰がどう選ぶのかを知ることで、ニュースで流れる「ノーベル平和賞発表」の裏にある、長い議論と理想への探求を感じることができるでしょう。
この記事が「ノーベル平和賞ってどう選ばれてるの?」という疑問解消の参考になれば幸いです。


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